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Kagayaはガイアフロー静岡蒸留所プライベートカスクオーナーになりました。

"ガイアフロー静岡蒸留所プライベートカスク2019"は、静岡蒸溜所のウイスキーを樽単位で購入することができるサービス。
ウイスキーは、樽の大きさや材質、貯蔵期間など様々な影響を受けて異なる味わいに変化していきます。
プライベートカスクを購入したカスクオーナー自身で味を確かめ、熟成の進み具合を見極め、ボトリングのタイミングを決めることができます。
そうしてできたウイスキーは、世界で唯一の特別なウイスキーです。

Kagayaは、2019年樽詰め予定の"オクタヴ55リッター"のカスクオーナーとなります。

ガイアフロー静岡蒸留所では以下の2種類の蒸留機があり、
Kagayaが選んだのは、"フォーサイス社製の薪直火で加熱する蒸留機"です。

・フォーサイス社製の薪直火で加熱する蒸留機で初留をしたニューメイク
・軽井沢蒸留所から移設した間接加熱の蒸留機で初留をしたニューメイク

オクタヴの場合最長熟成期間は5年間ですが、2022年にリリースを検討しているため、熟成期間は3年を予定しています。

貯蔵庫見学

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静岡蒸溜所見学ツアーでは、案内ガイドによる説明とともに普段目にすることができない静岡蒸溜所の中に入り、実際に樽に触れ、熟成中のウイスキーの香りを体験することができます。

今回、カスクオーナーになるにあたってkagayaスタッフ2名がツアーへ参加しました。


麦芽の粉砕


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ウイスキー製造の工程として、まずモルト(麦芽)を作ります。
モルトを貯蔵、加工する部屋に設置されたサイロというオレンジ色の大きな箱は、中が2つに分かれており、一つのスペースで17トン、合わせて34トンの貯蔵が可能です。
大麦に水をかけて発芽させ、時期を見計らって発芽した大麦種子を乾燥して発芽を止めます。スモーキーなウイスキーや普通のマイルドなウイスキーがありますが、スモーキーなウイスキーはモルトの時点でピートモスを焚き込んで燻製化した麦芽を使用するとピーテッドウイスキーになり、そうでない場合は普通のウイスキーになります。生産地やピーテッド、アンピーテッドを含め静岡蒸留所で使用しているモルトは7~8種類です。それらを用途によって使い分け、多くはスコットランドからコンテナに乗せて、バルグ17~18トンほどを輸入し備蓄していきます。スコットランド、ドイツ、カナダ、オーストラリアなど国外だけではなく、栃木や茨城の国産麦芽にも素晴らしいものは多くあります。
その他ピーテッドやノンピーテッド以外にも、少し焦がしてチョコレートのような味を付けたチョコレートモルトなど、市場には色々な種類があり、そういったモルトを貯蔵しておきます。
農産物なので中には埃やゴミが多少入っていますが、フィルターボックスの中を通すことによって、まず粉のような軽いゴミを取り除き、クリーンセパレーターというモーターを動かすと振動する機械で、棒状の小枝や筋っぽいゴミを取り、外側の皮の部分を選別します。
それから石や砂利のような細かいものを取り除き、綺麗になったモルトをモルトミルという麦芽の粉砕機に投入します。麦芽の粉砕機の中には大きな鉄のローラーが一対と、下部にもローラーがあり、この二対のローラーで麦芽を粉砕します。
粉砕された麦芽はグリストと呼ばれ、粒の大きな物からハスク(皮)、グリッツ(実)、フラワー(粉)に分けられた状態になります。
ハスクが30%、グリッツが60%、フラワーが10%となり、それに近いものが黄金比率といわれ、一番良い状態とされています。
ここで粉砕された麦芽に、糖化室でお湯を加え、麦芽糖という砂糖を取ります。その際3:6:1という割合が次の工程で役立ちます。
使用しているモルトミルは旧軽井沢蒸留所で使われていた物で、イギリス製で30年以上使われていますが、非常にクオリティが高く頑丈、丈夫、正確です。スコットランドでもこのモルトミルは希少で、モルトミルのロールスロイスと呼ばれています。約1トンのモルトをこれで粉砕し、次の糖化室へと輸送します。


糖化


糖化漕という大きなタンクの中に攪拌するための回る機械が入っており、モルトミルで粉砕した1トンのモルトをこちらに搬送します。
この際、ほぼ熱湯に近いお湯と混ぜ合わせて糖化漕の中に入れ、一時間ほどかき混ぜます。その一時間で、麦芽の中に入っている酵素、麦芽の持っているでんぷんがお湯によって活性化し、糖化現象で麦芽糖を作ります。この段階ではまだアルコールのない温かい砂糖水ですが、最終的には6000リットルほどの粥のようなものが作られます。
一時間で回転を止めると浮かんでいた物がタンクの下部に沈殿していき、自然と3:6:1の割合でフィルターの層ができます。
糖化漕の一番下には麦汁を抜き取る穴があり、自然にフィルターの層が形成されることで、そこを通った綺麗な麦汁を約3時間~3時間半かけて6000リットルほど採ることができます。
この麦汁は採取された段階では60℃くらいで、下に熱交換器があり、そこで約20℃まで下げます。温度を下げるのは、イースト菌と合わせてから発酵槽に送り込むためです。イースト菌は熱に弱いため、一番働きやすい温度にします。

20℃まで冷やされた麦汁は、乾燥して休眠状態になっているイースト菌(ドライイースト)を予備タンクの中で電気を点けて活性化し、送られてきた麦汁とパイプの中で混合してから発酵槽に送り込みます。一日一機ずつ作っており、中の上部で鉄のプレートが回っていて、湧き上がってくる泡を切って制御してます。この段階で初めてアルコールが発生します。ビールの場合はここからホップを入れて熱処理を行いますが、ウイスキーは醪が第一段階のアルコールになります。この状態で木の中に入っている乳酸菌を利用し、アルコール発酵後乳酸菌発酵をして約4、5日間ここに滞在します。温度が下がり切り乳酸菌発酵が充分できたところで次の蒸溜に移行します。


発酵


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水は奥静で取水したものを、仕込み水等色々な作業に使用しています。
静岡蒸溜所周辺は山に囲まれ人があまり住んでいないため、非常に硬度の高い上質な硬水が採取できます。
硬水というのはウィスキー作りに非常に適している水で、静岡蒸留所がある地域は硬水を取水することができる場所です。

静岡蒸留所の一階には、醪を作るための発酵槽が置かれています。
一階に設置されている発酵槽は八機あり、右側の四機は一般的に蒸留所で使用されているオレゴンパインベイマツの発酵槽です。
近年メンテナンスが楽なステンレスの発酵槽を使用している蒸溜所が増えている中、木の発酵槽は木の中に含まれている乳酸菌、アルコール発酵の次の段階で行われる乳酸菌発酵の際非常に豊かな醪をつくるため、静岡蒸留所では積極的に木の発酵槽を取り込んでいます。

世界で静岡蒸留所だけが取り扱っている物が四つありますが、その内の一つが杉の発酵槽です。
使用されているのは奥静で伐採された杉です。杉といえば吉野杉等が有名ですが、奥静も林業が盛んで、尚且つ杉の酵素を使ったというのはこの近辺で採れる木を使うという狙いがあります。地に根付いた乳酸菌が木の中に入っており、その乳酸菌をより積極的に増殖し活躍させるために、あえて杉の発酵槽を使用しました。
杉の発酵槽の乳酸菌発酵された後の醪というのは良い香りのものができます。
また、発酵槽を作るメーカーは日本に一社しかありません。
杉の発酵槽を作るため、所在地の大阪よりメーカーの社長が静岡蒸留所まで出向き、実際に奥静を歩いて伐採する木の選定を行いました。伐採した木は一年ほど自然乾燥させ、大阪で下拵えしたものを静岡へ運び、派遣された5名の職人によって組み立てられました。
組み上げる時には釘やビスを一切使用せず、寄木のように合わせてたなを回して締め付け、この発酵槽を作りました。
2年目になったばかりの、水漏れを全くしないこの発酵槽ですが、これから中の乳酸菌が増殖し良い発酵槽に育つと、状態が良ければ40年、50年と使用することができます。


蒸留


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蒸留器で蒸留が行われます。樽詰めの原酒として詰める物の状態を見極めるのは人間の鼻です。一番最初の段階はヘッド(最初に出てくるアルコールの多い液体)と言われます。その次はミドルカットポイント、それ以降がハート(適度の強度と品質を持った好ましい液体)と言われる部分です。ハートは500リットル前後しか取れないのですが、樽詰めする原酒として確保します。
時間が経つとアルコール度数が下がり、香りもダールになります。その段階がテイル(最後に出てくる使用できない液体)です。ヘッドとテイルは樽詰めにしません。ウイスキーは非常に厳選された部分だけが原酒になり、それが樽詰めされるのです。

蒸留塔には蒸留器が四基あります。ウイスキーは二度蒸留して原酒を作るお酒ですが、一つ目の大きな蒸留器と二つ目の蒸留器、この二基は一度目の蒸留を行う初溜器です。奥の赤いランプがついている三つ目の蒸留器は、二度目の蒸留を行う再溜器、四つ目のロボットのような形をした蒸留器はウォッカやジンを作ることができるものです。三つ目と四つ目の蒸留器は世界に一基しかありません。蒸留器は多くの場合スチームを使っていて、スチームをコイル状に通してその熱源で沸騰させて蒸留をする方法は非常にコントロールが簡単であるため世界的な主流になっています。下から火を焚いて沸騰させ蒸留するような形式を直火の蒸留器と呼びます。昔は直火の蒸留器が主流でしたが現在ではあまり使用されていません。スコットランドのグレンファークラス蒸留所は直火を使っていたり、日本でもサントリー山崎蒸留所はガスを使用した直火があるそうです。また、ニッカの余市蒸溜所では石炭を熱源にしています。静岡蒸留所では石炭やガスではなく薪を使用しています。所在地域では林業が盛んなため、林業の中で間伐材というものが出ます。その間伐材をもとにした薪を熱源にすることによって、化石燃料を燃やして二酸化炭素を出すのではなく、自然の中で循環をさせる方がより自然にやさしいのではないかという考えのもと使用しています。
ここでは700~800℃の火が燃えていますが、この熱が醪に接することによって醪の中の香味成分を幅広く奥深く取ることができるため、あえて直火を採用しました。この直火の蒸留器からはパワフルで甘みのある原酒が取れます。蒸留器の下部にある釜は、大きな釜を作ることができる業社がないため、東京にあるピザの石釜を作っているメーカーに特注し、試行錯誤を重ねて完成した代物です。
また、軽井沢蒸留所にあった蒸留器も設置されています。閉鎖した際四基が静岡蒸留所に来ましたが、内三基は貯蔵庫にあります。中心にスチームの熱源があり、ここで沸騰させたものを蒸留させています。
ウイスキーで使われているポットスチル(単式蒸留器)は基本的に、本来蒸留という現象だけで考えれば真鍮やステンレス、陶器やガラスでも構わないのですが、全て銅でできており、非常に理にかなった科学的な理由があります。
熱して蒸気となり上に上がりますが、コンデンサーの周りには水が入っていて、蒸気になったアルコールをここで冷やすことによって液化してパイプでステップに導きます。ここから用途に合わせて各タンクに振り分けられます。
蒸気が上昇する際に銅の壁面にぶつかり、銅の中にある金属路と蒸気が化学反応を起こします。そして銅のイオン化反応によって液体、醪の中に含まれている不純物(酸化化合物緑青)、特に硫黄などが銅と化学反応を起こすことによって酸化物になり固形化して落とされます。そこで溜まっていた蒸気がクリアな原酒を作る大綱になるのです。
形にも理由があり、バルジ型と呼ばれるたまねぎのような形の有無によって、まっすぐに上がっていこうとする蒸気が乱流を起こします。乱流によって蒸気の滞在時間を長くすることで、銅のイオン化反応が起こる時間を長くします。そのためよりクリアな原酒が作られるわけです。

人間が香りを嗅ぐことでどういう状態なのか確かめ、一番初めにできた五千数百リットルの醪を蒸留機に入れて初溜を行います。すると出てきた蒸留の液は1700~800リットルしか採れません。そのかわり量は減りますが、アルコール度数が上がります。それを再度蒸留すると、再溜を行うことによって樽に入れる原酒は500リットル前後しか採れません。採れる量は減ってしまいますが、二回蒸溜することでクオリティの高いお酒になります。


熟成


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第一貯蔵庫には、現在約300貯ほど貯蔵しています。敷地内に2018年秋に完成した第二貯蔵庫があり、そちらには自動ラック式の棚に約3000貯ほど入るスペースがあります。積み方はダンネージ式という積み方です。スッコットランドでは三段がダンネージの基本とされており、これは非常に理にかなった積み方で、樽の間を空気が均等に動くために熟成に適しています。まだ無色透明の原酒はアルコール度数が約70%前後で、その原酒にフィルターを通して純化した水を加え、63~64%の間に調整します。アルコール度数を調整するのは、度数が高すぎると木に勝ってしまうためです。低すぎると木に負けてしまうといういい方をしますが、木を壁にして外から出入りする空気や水分が一番適しているのが63~64%だと言われており、おおよそその度数が標準的です。
静岡蒸留所には様々な種類の樽がありますが、バーボンバレルという、アメリカでバーボンウイスキーを作った時の約190リットルほど入る樽があります。それを解体して作り直した樽が細身の樽はクオーターカスクといい、約110リットル入る大きさです。また、オクタブカスクと呼ばれる小さな樽は約55リットル前後入ります。これもバーボンカスクを解体して作った樽です。それから大きな黒い樽と、色の塗られていない同じ形をしたもの、これはチェリーバンドといい、チェリー種を漬けていた樽で、約500リットルほど入ります。他にはワイン樽で、約120リットルから大きい物だと200~210リットル入る樽がありす。なぜバーボンバレルに入れるかというと、アメリカではバーボン法という法律があり、バーボンウイスキーというのは一回しか樽を使用してはいけないことになっているために、二度目の樽はゴミになってしまうためです。スコットランドの蒸留所がこれに着目し、大量に安定した供給を得ることができるようになりました。バーボンウイスキーで使用した樽なので中古ですが、樽は生の木を乾燥させたりする必要があるので、一番最初は木特有の強みや香り、エグミといったものが出てしまいます。バーボンウイスキーで一度慣らした樽ではそれが軽減され、木が本来持っている甘みや香りを感じとることができます。静岡蒸留所ではスコッチウイスキーの基準が厳守されていますが、スコットランドのスコッチウイスキーは非常に厳しい規則があり、一つは原材料はモルトと水とイーストだけを使用する。二つ目は単式蒸溜にて蒸留すること。三つ目として、樽で熟成すること。四つ目はこの樽の中で三年と一日以上熟成すること、と定められています。五つ目は、スコットランドで蒸留し、スコットランドで熟成するという決まりがありますが、それは難しいため五つ目以外は全てスコットランドの基準を満たしています。
2018年の10月に三基目の蒸留器を迎えましたが、まだ三年以上熟成した原酒はありません。ブランドとしてウイスキーを出すことができるのは、2020年の夏以降になります。ウイスキーは味付け・香り付けを一切してはいけなませんが、昨今市場では色んなニーズがあるため、様々な種類の樽を確保しているのです。甘いウイスキーやスパイシーなウイスキーなどもあり、基本はバーボンバレルで熟成を行って、その後チェリー樽に移して半年から一年経過するとチェリー樽が持っている甘さや香り、色合いといったものを調整していくような商品づくりを行います。これはどこの蒸留所でも同様です。





3年後の2022年、Kagayaは創立60周年を迎えます。その記念として、世界にひとつしかないオリジナルのシングルモルトをお客様と共有、提供したいという思いからカスクオーナーになりました。
どんな味のウイスキーになるのか、三年後にご期待ください。


ガイアフロー静岡蒸溜所のホームページ:https://shizuoka-distillery.jp/


2019/06/18 | Comments (0) |

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