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パイプの世界を訪ねて 鈴木達也氏とパイプの世界

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煙草を嗜むには、紙巻煙草が今日最も手軽な手段として一般的になっている。しかし、パイプを楽しむ人々は、そこに深い思い入れと、こだわりを持つようにみえる。

2015年、秋も深まり冬にさしかかろうという某日。

パイプを嗜み、その啓蒙やパイプ…ひいては喫煙文化の歴史研究をライフワークとされている、日本でも屈指のパイプ愛好家であり、深い見識と国内外に多くのネットワークを持つ、鈴木達也氏を訪ねて、パイプの魅力やパイプにまつわる思い出など、色々なお話を伺い、またその豊富な所蔵パイプの一部を拝見しました。

パイプとの出会い

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鈴木達也(すずき たつや)氏
1938年北海道に生まれる。
1963年上智大学外国語学部卒業。
半導体メーカに入社、1975年にトランステクネ・インターナショナル株式会社を設立、社長に就任現在にいたる。1980年よりイングランドの喫煙伝来史研究に着手、1990年に国際パイプ・アカデミーの終身会員に推挙されたのを機に我が国の喫煙伝来史研究に取りかかる。
国際パイプ・アカデミー(英国・リヴァプール大学内)理事、国際パイプ・クラブ委員会副会長(仏)、サン・クロード・パイプマスター・コンフレリー(仏)会員、ジャン・ニコー・コンフレリー(仏)会員、日本パイプクラブ連盟名誉会長
(世界喫煙伝播史より)

鈴木達也氏(以下 鈴木氏)とパイプとの出会いは、同氏が大学を出て入社2年目の海外出張で、スウェーデンの企業との会議でのこと…。

品質に関する厳しい質問をする鈴木氏に対し、先方の技術者は即答せず、咥えていたパイプの灰を搔き出し、モールを通し、そして新たな煙草を詰めて火をつける……という一連の作業に時間を掛けて、やっと回答をはじめたそうです。

「おそらく、その間答を考えていたのだろう。こちらはじっと見てるしかなかったんだよ。……で、私もこれはいい道具だ、と(笑)。 早速帰路の空港で3本のパイプを買って帰りました。」

当時の日本では、まだパイプブームが始まる前……20代でパイプを咥える者はほとんどいなかった頃だったそうです。

パイプとの関わり、喫煙の歴史

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そんな出会いから、それまで喫煙をしなかった鈴木氏はパイプを嗜むようになり、海外出張の度に1本買い、2本買い…と続けつつ、その興味はパイプ愛好家の枠にとどまる事なく、パイプと喫煙の歴史を紐解くようになったとの事です。

色々な資料・文献を読み解くうちに、日本の喫煙伝来について海外の喫煙先進国の歴史や記録と矛盾することに気づく事が多かったそうです。 そのような時に鈴木氏は、軽快なフットワークと人的ネットワークを活かして検証を続けてきました。


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例えば…

「日本への伝来が慶長10年(1605)という説が流布していたが、実際にはもっと早い時期であることが分かったのです。1570年代には煙草は既に日本へ持ち込まれていたと考えます。」

そして…

「伝来初期はパイプ喫煙ではなく、巻いた煙草の喫煙が、ポルトガル船の船員や商人によって持ち込まれたもので、中国からの伝来とされた煙管(キセル)も、オランダの金属パイプを模して日本で作られ、国中に広まったもの。朝鮮や中国のキセルは逆に日本から伝えたものなのです。」

といったお話を、限られた時間の中で私達に分かり易くお教えいただきました。これらは実際に多くの考察と、調査を重ね、時には費用をかけて論証を積み上げてきた内容だそうです。

「国内外の資料を深く調査し、それを時間軸上で繋いでいく。そうすると矛盾のない絵がみえてくるのです。」

お気に入りの作家、シェイプ、一緒に楽しむお酒の話など

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深く、落ち着いた空間で、日が落ちかける頃まで実に多くの事をお聞かせいただきました。そのどれもが深い考察と経験の中での貴重なお話でしたが、私達の用意した四方山的な質問にも快くお答えいただきました。


-お気に入りのパイプ作家やブランドなどあればお教えください。

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「一番多く持ってるのは、ホルベック(※)かな。 繊細かつ無駄のないデザインが好きで、小柄な日本人にも合うし、とにかく美しい。 慣れぬと喫煙がちょっと難しいシェープもあるが、そこがまた良い。」

ゲルト・ホルベック(Gert Holbek)
1928年スウェーデン生まれ、デンマークの代表的なパイプ作家の一人。
1953年、ポール・ラスムッセンの工房にてパイプ製作を始める。
(日本パイプクラブ連盟編 『パイプ大全』 第3版より)

ホルベック氏と鈴木氏はプライベートでも交流があり、今でも毎年クリスマスにはカードが届くそうです。


-日常的に吸われる煙草で一番多いのは何でしょうか?

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「マックバーレンが多いかな。ゴールデン、スコティッシュ辺りは日常的に良く吸います。日本にマックバーレンのこの2種が入るようになったのは、私が助言したからだよ。」


-パイプ以外の煙草やお酒などのこだわりについて

「葉巻はうまい食事の後には吸うよ。 酒はコニャックを飲むが、ウィスキーならスモーキーなのが好き。何れもストレートで飲むのが一番。水を混ぜて飲むなんてのは作った人に失礼だと思うね。」

所持するパイプについて

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「私はコレクターではないから、アンティーク以外は全て使っている。気に入ったパイプを買っては喫っているうちにこんなに増えてしまった(笑)。しかし、ブランドには全くこだわらない。」

パイプは1000本位まではご家族が数えていたそうですが、今はもう分からないとの事。

「娘が数えていたのは随分前のことだから、今は2000本以上はあるんじゃないかな…」

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……誇るわけでもなく、ごくごく自然に仰られましたが、凄い数字です。
(Kagaya新宿店の店頭在庫より多いです…汗)


-初めてのパイプはなんでしょうか?

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「50年前に、スウェーデンでの会議(前述)の後、コペンハーゲンの空港で買った3本が最初。いずれもスタンウェル。」

写真はそのうちの1本。当時まだ、刻印に王冠がつかない”S”だけが記されたスタンウェルパイプ。(屋外にて撮影)

編集後記

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お話を伺いながらパイプを拝見させていただいていた時の事。 棚のパイプがポロっと落ちて椅子の裏に転がり込んだ折、ひと言。

「ああ、いいよ、いいよ。あとで探しておくから」

なんてサラっと仰ることも。

リビングや書斎など、そこかしこに並ぶパイプは、決して博物館的展示ではなく、あくまで煙草を楽しむ道具として陳列されているのを感じました。

鈴木氏に限らず、あえて手間のかかる喫煙スタイルを楽しむ。
そんな”有意義な無駄”を楽しむ皆様にも、きっと沢山の思い入れやこだわりがある事でしょう。

Kagayaでは、皆様のそんな「こだわりたい」欲を満たすアイテムやライフスタイルを今後も提案していきたいと考えています。


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参考・補足資料

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日本パイプクラブ連盟
http://www.pipeclub-jpn.org/

国際パイプ・アカデミー
http://pipeacademy.org/

著書:『喫煙伝来史の研究』(思文閣出版1999年11月)
http://www.amazon.co.jp/dp/4784210180/

著書:『世界喫煙伝播史』(思文閣出版2015年8月)
http://www.amazon.co.jp/dp/4784217991/

共著:日本パイプクラブ連盟編:『パイプ大全』
(未知谷2009年6月)
http://www.amazon.co.jp/dp/4896422694/

他に論文・論考約30本

鴨東通信 夏 (思文閣出版広報誌 2015年7月 No.98)
てぃーたいむ 「鈴木達也 紫煙は世界をめぐる」

2015/11/22 | Comments (0) |

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