喫煙具 紳士用品の総合情報
2015年6月某日、喫煙具専門店kagayaスタッフ3名にて、日本でも数少ない煙管の生産工場「飯塚金属株式会社」さんへ、同工場内にて「手作りの煙管」職人として工房を構えご活躍する飯塚昇さんを訪ねてまいりました。
日頃お取扱いのある煙管(きせる)についての知識を深め、お求めいただく皆様へ広くその魅力をお伝えするべく、色々なお話をうかがって参りましたので、ここにその一部を掲載いたします。
飯塚昇(いいづか のぼる)さんは、新潟県燕市にある飯塚金属株式会社の前代表(現在は甥にあたる飯塚景造さんが代表)として活躍され、定年を迎えた後に、「きせる屋 昇(のぼる)」の屋号で手作りの煙管職人としての活動を再開されました。
同工場は、飯塚昇さんの御祖父の代から始まり、その後お父様へと継がれ、飯塚昇さんは16歳の頃から工場を手伝ってらしたそうです。
お昼前、飯塚金属株式会社を尋ねた一向を、飯塚昇さんと工場の皆様が笑顔で迎えてくださいました。
色々なお話をお聞かせいただく飯塚昇さんの人柄に感嘆しつつ、動画や写真をパシャリ 。パシャリ…。
(お話中に失礼いたしました)
1970年代中頃には煙管の需要が特に多く、工場では機械生産の煙管を”日産”で5000~6000本は生産して出荷いたそうです。
現在では”月産”2000本前後といったほどだそうですが、とはいえ急激に需要が減っている、という事も無く、ここ暫くは安定した注文が入っているそうです。
雁首(がんくび)と吸い口の素材は、真鍮や、四分一(しぶいち)と呼ばれる合金、銀など。
羅宇に使用する竹昔は静岡、岡山といった辺りが中心だったそうですが、現在は広島産が殆どを占めるそうです。
量産品とは別で、飯塚昇さんが手がける手作りの煙管(※1)は、現在月産10~30本の製作が限度との事。
※1:銀製の、手延べや手綱といった機械では製作が困難な煙管類。彫金師へのオーダーなどが必要な為、注文によって日数・本数は増減するそうです。
一尺二寸の手綱煙管などのオーダーが入ると、この一本で1週間は付きっ切りになってしまうそうです。
煙管の職人さんが、煙管を吸うのが美しくなければならないという事は無いですが、お願いして煙管を吸っている姿を撮影させていただきました……
適度につまんだ刻みたばこを軽く丸め、雁首へ。最後まで吸い尽くさず、2服程度で、刻みが燃えきらない位で灰皿へ落とすと、火皿や煙道内部へのヤニのこびり付きも少なくメンテナンスの手間も減るとの事。
また、燃やしつくさない事で、トン、トン、と手の上で(※2)軽くきせるを叩くだけで灰を落とす事ができます。
ちなみに、着火に関しては、(見た目に様(さま)になるのはマッチだが)「やはりライターで着火するのが今は一番楽です(笑)」との事。……確かに!。
※2:灰を落とす際、たたきつけたがる方が多いそうですが、煙管も灰皿も傷つけてしまいますので避けてください。
マッチですら貴重な火種だった頃には、このように早めに落とした火種が生きているうちに、次の刻みを煙管に詰めて火を移す…という形で喫煙を継続していたそうです。
煙管を楽しむ所作も自然で、どこか美しい飯塚さん。
実は以前、某ドラマの小道具を依頼され製作(※3)した折に、主演役者さんへ煙管喫煙でのご指導などもなさったとか。
※3:「二対の虎の彫金が入った煙管」を製作したとのお話でした。ふむふむ…なるほど、なるほど…。
本来は当然、修行が必要な煙管作りですが、今回は特別に煙管作りを体験させていただく事をご快諾いただき、これにkagaya新宿店のスタッフ香取が挑戦いたしました。
煙管作りは未経験ですが、難しい所は飯塚さんにご助力いただき、マンツーマンでついていただきながら”1日で手延銀煙管を完成”できる作業工程を組んでいただきました。
中々大変そうですが、飯塚さんに丁寧に教えていただいただきながら、作業を進めます。
型にあわせてハンマーでたたいて丸めていく作業。1枚の銀板から切り出された素材が、少しづつ、筒の形になっていきます…。
上記の他にも、ろう付け、火皿の取り付け、磨き上げ…という工程を経て、所用時間7時間の結果がこちら。
今回は7寸というやや長めの手延煙管を製作させていただきました。
見た目にも、持った時にも存在感がありました。
飯塚昇さんと一行で記念撮影…ありがとうございました!
kagaya香取が体験煙管作りをしている間、非常に集中がいる作業という事もあり、残った一行は飯塚さんの工房がある燕市の市立産業資料館へ。
燕市は江戸時代より和釘・舟釘といった釘、そしてく鑢(ヤスリ)を中心とした金工品製造技術が発展していました。そしてその中で彫金技術と、煙管の流行の流れもあり江戸中期には煙管の一大産地となっていたそうです。
最近まで活躍された、長谷川豊平(1909~1999)、野島厚次(1911~2013)といった煙管職人さん、お二人の作品も多数展示されています。もちろん、現役の匠 飯塚昇さんの作品も多数展示されています。
その他、煙管と矢立の収集家である丸山清次郎氏の(1900~1982)コレクションが寄贈され、展示されています。こちらも見ごたえ有り。煙管の製造工程や、その生産技術が発達し隆盛する過程なども分かり、煙管に興味のある方は、是非一度訪れる事をお勧めいたします。
飯塚さんは、終始とても親切に、そして丁寧に、時に冗談を交え色々な事をお話くださいました。
中でも、煙管作りの先輩方のお話をされている折、
「102歳で亡くなる迄現役で煙管を作り付けた、野島(厚次)さんのように、生涯現役でありたいと思っています。…となると、私もあと20年は作り続けられる計算になります」
と笑いながら仰る飯塚昇さんの姿がとても印象的でした。
丁度昨年(2014年)の末、元サッカー日本代表の中田英寿さんと、
俳優の和久映見さんが、撮影で飯塚昇さんを訪ねてらしたそうです。
同動画はYoutubeで公開されています。
ジャパング新潟 #1 中田英寿/和久井映見 【オトナの!】
●飯塚金属株式会社
新潟県燕市東太田2635
TEL 0256-63-5221 FAX0256-64-4643
http://www.iizuka-k.co.jp/
●燕市産業史料館
〒959-1263
新潟県燕市大曲4330-1
電話:0256-63-7666 FAX:0256-63-7669
休館日 月曜日(祝休日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
http://www.city.tsubame.niigata.jp/shiryou/
●にいがた県央マイスター 認定紹介
飯塚 昇(Noboru Iizuka ) キセル製作マイスター
http://www.pref.niigata.lg.jp/sanjou_kikaku/1336424434577.html
●JTI たばこワールド 文化/たばこクロニクル
2004年 数々のキセルを作り出した名職人が生まれた街・燕市
(長谷川豊平さん、野島厚次さんの紹介)
https://www.jti.co.jp/tobacco-world/journal/chronicle/2004/06/02.html
2006年 燕市のキセル作りの現場へ
(飯塚金属株式会社 紹介記事)
https://www.jti.co.jp/tobacco-world/journal/chronicle/2006/09/02.html
●謝辞
日本たばこアイメックス 新井社長、太田様。
今回の取材のご手配、ご案内にご協力いただきました。
この場を借りて深くお礼申し上げます。
2015/06/28 | Comments (0) | ツイート
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紀伊国屋ビル1階
TEL:03-3352-3689
営業:12:00~19:00
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※場所の詳細は東京交通会館ホームページ内のフロアガイドをご参照ください。
TEL:03-6270-3000
営業:11:00〜19:00
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